私が生まれる前から実家には黒猫がいて、とても私に懐いていました。子猫で拾われ性格はヤンチャ、みんなに愛される勝ち気なメス猫でした。
ある日、猫が怪我をしたので家族が動物病院へ連れて行くと、すぐさま病院預かりとなりました。
私は小学校から下校すると家族から病院預かりとなった経緯を聞き、早く良くなるように時折祈って過ごしました。
あんた何も覚えてないの?
そう聞かれたのを今でも覚えています。
私は昨夜、薄暗いキッチンの中で蛇口から汲んだコップの水を動物のように飲んでいたらしいのです。
ペロペロペロ
あー喉が渇く、と。
その姿は異様だったらしく、母は何でそんなふうに飲むのか、こうやって飲めばいいじゃないと何度も話しかけたそうです。私は返事を一切しなかったそうで、ただ喉が渇くと動物のように水を飲んでいました。
猫が病院から帰宅すると猛ダッシュで水を飲みに行ったそうです。その日から私が夜に起きることもなくなったので不思議に思った家族が病院に問い合わせをすると、預かっている間は水を与えていなかったということでした。
もう一つ、同居の祖父が亡くなる直前に同じようなことがありました。
祖父の脚の手術中に同じ場所に痛みが出ました。それはどんどん痛くなっていき、七転八倒する勢いの激痛でした。かなりの痛さだったので、ピークが過ぎてもしばらくの間はジーンと余韻の残った脚を擦っていました。そして祖父はこの手術中に亡くなり最後の別れとなりました。
どうも気持ちというのは離れていても伝わるようです。