夜中に目が覚めると隣で眠る旦那の額に網掛けのような黒いものがありました。
ハンカチサイズで、ミカンの網を分解して広げたような薄っぺらい形。
眼鏡をかけていなかったので少しぼやける視界。
黒い網掛けは少し浮かび上がるような、なぜか他の物よりはピントが合う感じでどこかフィルターが違うようにも見え、薄明かりの中で目を凝らしてみましたがよく分からず、気のせいだとトイレを済ましそれからまた眠りにつきました。
翌朝、旦那が起きぬけの開口一番に悪夢を見たと言ってきました。
ピンときたので夜中額に黒いのがいたよと額を指差し伝えると、一切スピリチュアルを信じない旦那が怖いこと言わないでくれ。その時は起こしてくれとお願いしてきました。
悪夢をどれくらいの間隔で見るのかを尋ねると大体二ヶ月のスパンだそうです。
それからしばらく経ち、今度は私に出ました。
夜中、何か嫌な夢を見たあとの気分の悪さを感じ目を覚ますと天井に黒いものが引っ付くようにいるのです。
前より大きいし二倍はある……。
あー……。私に来てしまったんだと思いながら気付かないフリをしてサッと寝ました。祓えないので寝るしかありません。
そして次の日も悪夢で目が覚めました。
嫌な感覚
目を開けると何か膜に覆われている感覚がありました。何かは分からないけどそう思いました。
部屋の中は暗闇なのに見渡す限り模様が視えるのです。どこもかしこも小さな模様が隙間なくあり、黒いのですが薄っすら光って視えます。
旦那の額にいた黒い網掛けも、天井の網掛けもですがフィルターが違うのかメガネ無しでも模様が分かりました。そしてそれが私の頭を覆ったのだと分かりました。
部屋はいつもの匂い。家族は寝ている。
他の違和感を探します。おかしいのは視界。
景色はいつもの部屋にプラスして遠くから見るヴィトンの模様が重なったようで、綺麗だなとも思いました。
目を開けて見ているけど、夢かもしれないし、寝れば過ぎ去るよね
見なかったことにしてまた眠ると、すぐに夢を見ました。
夢の始めから悪い存在が体に憑き、金縛り状態に。
息が詰まる……
苦しい……
お前は一体何なんだ!!
男の怒鳴り声が体の中から聞こえました。
また目覚めます。
これは霊障だ。昔たくさん体験してきた金縛り。これからまた始まる不思議体験に不安を覚えました。
声は初めて聞きましたが、体験としては慣れているのでどこか冷静でもありました。
どうしようか
私が唯一読むスピリチュアルサイトでは、普段から瞑想をして心を清めることが良いと書いてあり、また、その方は聖書の言葉でやっつけるそうですが、そんなやり方は知りません。なので夢現状態から白い光に助けを求めました。あれから姿をみていない白い光。来てくれるか分からないけど、無心に祈りました。
数秒で白い光が現れましたが、丹光なのか白い光なのか分かりません。私と白い光の間には黒くて荒々しい斜線のような、髪の隙間から見えるような視界。黒い悪意の檻で分断された状態では形が中々分かりません。
何が邪魔してるんだろう……
目で視えるものと、目を閉じて視えるものは違うのだとそのときに知りました。
何度も何度も白い光と神様、私の後ろで見守っている方にお願いしました。
黒の激しい射線の隙間から意識を向こう側へ通すように、助けてください。眠れません。何かが私を困らせています。退けてください。
愛が神様だと書いてあるので、愛の言葉もたくさん白い光に投げかけました。
手探り状態で自分を守るようにしていきました。
私が私でいるための祈り
染められない祈り
そして内側へ内側へ満たしていく
悪意の黒に覆われた中で私は愛に包まれていく、そんな感覚で身を守りました。
ひたすら、ただひたすらに
気がつくと、真夜中の薄暗い視界は通常の薄暗さに戻り、浮き上がったような少し綺麗だと思った模様はどこにもありませんでした。
薄明かりの中、何度も部屋を見渡しました。
な、なんとかなった。
目を閉じると少し残っている感じがしました。そして数日は記憶にも残らない悪夢を見て夜を過ごしました。