※改めて今回の話の元となった本を購入したので載せてみました。
『子ども時代が、大人になったあなたを支えてくれる』そう石井桃子さんが語ったそうです。石井桃子さんはピーターラビットを翻訳された方で児童文学作家です。
これはセンス・オブ・ワンダーを探してという阿川佐和子さんの本の中に書いてありました。
昔、この本の紹介をテレビ番組のサワコの朝で見たと思います。内容は覚えてなかったけれど、提唱者レイチェル・カーソンさんのセンス・オブ・ワンダーと共にこの本は図書館に行くと必ず目に留まりました。長いこと手に取り、戻しを繰り返して読むことなく過ごしてきました。十年は経ったでしょうか、急に読みたくなったのでようやく借りることにしました。
センス・オブ・ワンダー
自然等に触れることで受けるある種の不思議な感動、または不思議な心理的感覚を表す概念。Wikipediaから貰ってきました。
それは私の感受性のもと
それは私の霊的アンテナのもと
同調するようにして、一つ一つ霊的アンテナを伸ばしてきました。
今はメダカを通してバクテリアの世界を覗き、川の生態系に思いを馳せる
果樹を育てつつ蝶も一緒に育て観察する
その中で自然の和を学ぶ
慈しみながら蝶の羽化を待つ
そんな趣味を通して世界を感じています。
今年の夏は観察する対象が一つ増えました。庭に数本の野良アサガオが芽を出したのです。種の発芽は数年の時を待ち、一斉に出るのでしょうか。駆逐したと思ったのですが今年また出てきました。
しょうがないから育てようと思い、水やりを始めると恐ろしい速度で蔦を伸ばしていきました。
ほどなくして朝顔が咲けば蛾の幼虫が誕生し、その生態を観察します。アゲハの幼虫が小さいと思えるほど、成人男性の中指ほどの大きな幼虫、目をチカチカさせながら朝顔を貪るその姿を観察しました。
急に一枚の葉が荒ぶり、何かと思えば今から食べるの合図。裏から葉をどうにかしようと掴みながら出てきました。
ある日、コンクリートの壁をヨチヨチ登る幼虫がいました。足の動きをマジマジと眺め、その幼虫の横で花柄摘みをしました。
花柄がうまく取れなくて引っ張り取ると、その衝撃がその幼虫近くの蔦に響き驚かせてしまいました。
あぁ……
ぽと。
膝上の高さの壁からお姫さまみたいに静かに落ちました。横たわるその姿も大人しく可愛く、なんだか上品でした。
ごめんねと、その幼虫が行きたかった、もう少しで届いたであろうブロック塀の上へすくい置いてあげました。
気を失ってる
幼虫も気を失うのだとその時知りました。
翌日、少し乾いた体がありました。
蟻と違うことを知りました。
弱いから目をチカチカさせるような擬態をし、一生懸命生きていることを知りました。
その日、私は小さな命を通して世界を知ったのです。