月色ユーカリプタス

魂をみる私の世界

幼い日のセンス・オブ・ワンダー

私の霊感を磨いたもの

 

祖父の家に行くときは、山深い道を長い時間をかけて車を走らせます。

子供の頃は車酔いしやすかったので車での移動は空を見上げてひたすら時間を潰しました。両親はヘビースモーカーだったので、車内ではできるだけ呼吸は浅くゆっくり、雑念があると酔いが激しくなるので基本、無心で過ごしました。

その日、ぼーっと眺める空はところどころ青く、雲が様々な形へと移り変わって厚みが出てきていました。雨が降り出すと、ワイパーを動かす音、タイヤが水を跳ねる音、少し開けた窓から湿気った山の匂い、流れる山の景色は水蒸気が木々を覆っていました。

 

遠い道のりをひたすら車窓から木の枝が素通りしていくのを眺めていました。何本も何本も。

 

雲が降りてきてる

雨が上がったら山でうまれた雲を連れて行くんだよ

 

母は度々夢のある話をしてくれました。

それは狭い空間で何もやることのない私を途端に不思議な想像の世界へと誘いました。

 

山中の道は細く左右を見渡せば木々がどこまでもあり、流れの遅い遠目の木々の白くモヤッとした水蒸気をゆっくり観察するように眺めました。

そこから発展し、動物や植物の暮らしについても想像を広げました。

 

ぼくの地球を守ってという少女漫画に出会ってしまった私は、木蓮という美しい女性の植物と会話をするという能力に興味が湧き、植物と話せる世界を想像してみることが多くなりました。

どうやって読み取るのだろう。

心を寄せる、意識を合わせることなのだろうかと考えるようになり、山々に囲まれた場所で、意識を合わせるということを練習してみたり、なんとなく野草の横にしゃがみ込み、そよそよ風に揺れる野草をみて自然のリズムを体に取り込むようにして過ごしました。

 

夜、家の横を流れる川のせせらぎはどこへ行っても聞こえてきて布団を被っても音の洪水でなかなか眠れませんでした。

普段眠れないと丹光が出てくるのですが、子供時代は銀河のような幾何学模様の輪が回って出てきていました。でもこの家では丹光よりも音の洪水でした。なんでこんなにもうるさいのか。

 

目を閉じて感覚で拾っていき、せせらぎのひと音ひと音をどういう場所から出ているのかを探りました。外にある水舟は山の水を引いているので出っ放しで勢いよく出ている音も遠くで聞こえていました。

※水舟というのは岐阜県の郡上八幡特有の、山の水を庭に水を引き込んで一時的に貯めておく二層を連結させた大きな木桶です。一番目は飲み水や野菜を洗うのに使われ、その水が次に流れる二層目は食器を洗ったりする木桶で最後は池や用水路に戻り流れたご飯粒などは魚のエサになり循環していくものです。※現物が無くなっていたので八幡にあったものを画像追加しました。

 

あ、音の調子が変わった。

 

遠くで鳥が鳴いてる、何ていう鳥だろう。こんな真っ暗で怖くないのかな、どんな感情で鳴いたんだろう。

 

目を閉じて広がる世界。自然はどこまでも深く、体はいつもより小さく感じ、自然の中に飲み込まれていく感じがしました。

 

朝はひんやりとした空気の中、祖母の作ったお味噌汁の匂いで目が覚めます。山あいで見る外の景色は、いつも見る世界よりもずっとずっと光が強く見えました。

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